
LINE公式アカウントを使って配信をしていると、こんな経験はありませんか?

- すべての友だちに同じメッセージを送っているけれど、反応が薄い…
- 配信後にブロックされてしまった
- 友だちが増えるほど一斉配信の従量課金がかさんで、コストが気になる
実際に、ユーザーの年代や関心ごとは一人ひとり異なります。
その違いを考慮せずに一斉配信してしまうと、せっかくのメッセージが読まれず流れてしまったり、ブロックされてしまったりと配信数を無駄にすることがあります。
そこで役立つのが、LINE公式アカウントの拡張ツール「Lステップ」のセグメント配信機能です。
この記事では、セグメント配信の特徴や一斉配信との違い、設定方法、実際に成果につながった事例も紹介します。
目次
Lステップのセグメント配信とは?
Lステップのセグメント配信とは、アンケートの回答やリンクのクリック履歴、購入の有無など、ユーザーの実データを条件にして配信できる仕組みです。
次に、セグメント配信と一斉配信の違いを解説します。
セグメント配信とは
セグメント配信とは、ユーザーを属性(性別・年齢・地域など)や行動履歴(アンケート回答・クリック履歴など)で分けて、グループごとにメッセージを届ける仕組みです。
たとえば「女性・30代・美容に関心あり」といった条件でグループを作れば、その人たちに合った内容を送信できます。
これにより「必要な情報を必要な人に届ける」ことが可能になります。
一斉配信とは
一斉配信は全員に同じ内容を一括で送信する方法です。
新商品の告知やキャンペーン開始時などユーザーとの関係性を深めることに有効です。
セグメント配信では条件を絞り込めるため、「キャンペーンのURLをクリックした人」だけにリマインドを送るなど、行動に合わせた個別のアプローチができます。
結果として開封率やクリック率の改善につながりやすくなります。
LINE公式アカウントとLステップのセグメント配信の違い
ここでは、LINE公式アカウントとLステップでできるセグメント配信の違いを解説します。
LINE公式アカウント | Lステップ | |
使用できる属性 |
|
|
絞り込み条件 | オーディエンス:50人以上
属性:100人以上 ※リーチ数条件あり |
1人からでも配信可能 |
データの正確性 | 「みなし属性」(推測データ)のため誤差あり | 実際の行動や回答に基づくため精度が高い |
主な機能 |
|
|
運用の自由度 | 絞り込みが限定的 | 条件の組み合わせが可能 |
LINE公式アカウントのセグメント配信
LINE公式アカウントでは、3つのセグメント配信が利用できます。
1.オーディエンス
あらかじめ作成した条件で特定の利用者を絞ってメッセージを送る機能です。
- メッセージクリック※
- メッセージインプレッション※
- リッチメニュークリック※
- リッチメニューインプレッション※
- 友だち追加経路※
- チェットタグ
- ユーザーIDアップロード
- ウェブトラフィック※
※を配信先に設定するには、50人以上の友だちが必要です。
例えば「メッセージをクリックしたユーザーにクーポンを配信する」という使い方ができます。
2.過去の配信
過去に配信されたメッセージの配信対象のユーザーに対し、再度配信ができます。こちらはLINEヤフー社の審査を通過した認証済のLINE公式アカウントで利用が可能です。
3.属性(フィルター)
以下の5つの属性に分類することができます。
- 性別
- エリア
- 年齢
- 友だち期間
- 使用しているOS(AndroidやiOSなど)
例えば「男性×東北地方×友だち期間6日以下」など、複数の属性を掛け合わせて配信が可能です。
ただし、属性でセグメント配信するには、対象の友だちが100人以上必要です。
「男性×東北地方×友だち期間6日以下」で絞り込みをした時に、対象が99人の場合は配信することができません。
以上のような情報を使って配信先を絞り込むことが可能です。
また、LINE公式アカウントのセグメント配信では、絞り込みは友だち数が少ないと使えず、また使用できる属性は「みなし属性」と呼ばれ、利用状況からの推測データであるため実際の属性と乖離している可能性があります。
Lステップのセグメント配信
Lステップでは、アンケートの回答やリンクのクリック履歴、購入有無などの実データに基づいてセグメントができます。
そのため「推測データ」ではなく、「実際の行動に基づいた配信」が可能です。
また、友だち数や絞り込み後の人数の制限に縛られずに、細かなグループ分けができるため、1人からの配信でも活用できます。
このように、Lステップではより正確なユーザー属性に基づき、少人数からでも配信を行えるため、無駄な配信を減らしてコストを抑えたり、関心のある情報だけを届けることでブロック率を下げたりできる点が、LINE公式アカウントとの大きな違いです。
セグメント配信用のタグ管理(Lステップ管理画面イメージ)
次の章では、実際にどんな条件を設定できるのかを具体例とともに解説します。
Lステップのセグメント配信でできること
Lステップのセグメント配信は、単なる「配信先を絞り込む」だけでなく、ユーザーごとに異なる行動や関心をもとに配信ができます。
ここでは代表的な4つの機能を解説します。
1.タグによるユーザー管理
Lステップでは、ユーザーに「タグ」を付けて管理できます。
タグとは、ユーザーの行動や回答内容をラベルのように記録する仕組みのことです。
このタグをもとに配信先を絞り込むことで、一人ひとりに合わせたメッセージを届けられます。
- アンケートの回答内容
- メッセージの既読/未読
- リンクのクリック履歴
- 購入や予約の有無
例えば「商品ページをクリックしたが購入していない人」にクーポンを送る、といった配信が可能です。
LINE公式アカウントの「みなし属性」と違い、Lステップは実際の行動や回答に基づいて確実に配信グループを作れるのが強みです。
2.シナリオ配信
Lステップでは、あらかじめ設計したシナリオに沿って自動的にメッセージを届けることができます。
さらに、ユーザーの行動や回答に応じてシナリオを分岐させられる点が強みです。
- 「はい」と答えた人には購入ページのリンクを送る
- 「いいえ」と答えた人にはメリットをまとめた説明を配信
- 無料体験を申し込んだ人には、参加前日にリマインドを自動送信
このように分岐を組み合わせることで、営業担当者が個別対応しているかのような自然なやりとりを自動化できます。
その結果、ユーザーは自分に関係のある情報だけを受け取れるため、内容を読み進めやすく、次の行動につながりやすくなります。
3.スコアリング
Lステップ独自の機能が「スコアリング」です。
ユーザーの行動に点数をつけ、興味や関心の度合いを数値化できます。
- メール開封 → +1点
- 商品ページをクリック → +3点
- 資料請求 → +5点
こうして累計点数が高いユーザーを「見込み度の高い層」として抽出し、重点的にフォローすることが可能です。
LINE公式アカウントにはない機能で、スコアの高いユーザーに絞って配信することで、興味の低い層への無駄なアプローチを減らし、結果的に配信コストの削減や顧客獲得単価の改善にもつながります。
4.A/Bテスト
メッセージを2パターン用意して効果を比較できる「A/Bテスト」もLステップの特徴です。
具体的には
- 件名を変えて開封率を比較
- 画像あり/なしでクリック率を比較
- 朝と夜で配信時間を変えて反応を検証
結果は管理画面で数値化されるため、次回以降の配信の改善が可能になります。
感覚に頼らず、データに基づいて改善サイクルを回せるのがA/Bテストの強みです。
Lステップでセグメント配信を始める手順
Lステップのセグメント配信は、管理画面から設定できます。
ここでは実際の操作イメージを4つの流れで説明します。
1.メッセージを作る
まずは、管理画面のメニューから「一斉配信」を開き、「新規配信」を選択すると作成画面が表示されます。
2.配信対象を決める
送信先を絞り込みます。
設定画面の「友だちを絞り込んで配信する」にチェックを入れると、条件設定が可能になります。
条件を選んだら「この条件で決定する」をクリックすれば、配信対象が確定します。
3.配信タイミングを設定する
続いて、いつ配信するかを選びます。
「配信日時設定」では、以下の2つから選べます。
- 友だち追加直後にすぐ配信
- 指定した日時に配信(1分単位で指定可能)
用途に応じてスケジュールを調整しましょう。
4.配信メッセージ設定
ここで本文や画像を入力し、送信したい内容を作成します。
準備が整ったら「配信登録」をクリックすれば完了です。
本番前に誤字脱字やリンク先を確認したい場合は、テスト配信を利用すると安心です。
Lステップの活用事例
株式会社BALSAが実際に構築・運用を支援した事例をご紹介します。
Lステップのセグメント配信が、どのように成果につながったのかを具体的に見ていきましょう。
音楽教室の事例(くまっけ音楽さま)
くまっけ音楽さまでは、Lステップのセグメント配信を活用し、体験レッスンへの導線を構築しました。
LINE登録者には、まず限定の30分動画を配信。その後「体験レッスンを予約した人」と「未予約の人」に分け、未予約の登録者にはシナリオ配信で再度案内を行いました。
この仕組みにより、LINE登録者の11.2%がワンコイン体験レッスンを予約。
動画から体験レッスン予約への流れが明確になり、最終的にはコミュニティ入会者数の増加につながっています。
パーソナルジムの事例(ELEMENTさま)
ELEMENTさまでは、ジムのホームページからLINEに登録したユーザーにアンケートを実施し、年齢や性別などの属性情報を収集しました。
そのデータをもとに、体験案内やジムの特徴紹介など、関心度に応じたセグメント配信を行っています。
さらに、未反応の登録者にはシナリオ配信で自動的に再案内を行い、来店前の不安を解消できる仕組みを整備しました。
その結果、毎月500〜600名の新規登録から安定して反応が得られ、月80件前後の問い合わせにつながっています。
医療クリニックの事例(そのだ内科糖尿病・甲状腺クリニックさま)
そのだ内科糖尿病・甲状腺クリニックさまでは、Lステップのセグメント配信を活用し、クリニックに関心を持つ方だけに情報を届ける仕組みを整えました。
LINE登録後のアンケートで居住地域を確認し、一都三県在住の方にだけ事前予約を案内。
また、院内掲示に設置したQRコードから「美容」「糖尿病」などの関心ごとに分けた情報を配信する仕組みも導入しました。
加えて、リマインド配信やキャンセル者への再案内を行うことで、患者さまの予約率や再来院率を高めています。
LINE経由の予約が全体の9割以上を占め、開院4か月で友だち登録者数は4,000人を突破。
2025年7月には有効登録者数が27,000人を超え、月間予約数は2,000件に到達しています。
まとめ
今回は、Lステップのセグメント配信について解説しました。
セグメント配信を活用することで、ユーザーの属性や行動に合わせて情報を出し分けられるため、一斉配信ではできない個別のアプローチが可能になります。
タグ管理やシナリオ配信、スコアリングやA/Bテストなどを組み合わせれば、効率的に成果を高める仕組みをつくることができます。
「配信しても反応が薄い」「誰に何を届ければよいかわからない」といったお悩みは、セグメント配信で解決できるかもしれません。
Lステップの運用に関してさらに具体的な方法を知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社BALSAでは、250アカウント以上の運用実績をもとに、貴社に合った最適な運用方法をご提案させていただきます。